再生エネルギーの事業に関わりたくてベトナムから日本へ
私はダナン生まれで、ベトナム大学で水力発電を勉強していました。ベトナムで就職した後、潮位発電分野に興味を持ち、友人と一緒に訪日しました。その後日本語を学びながら、修士、博士課程で、海岸侵食を研究しました。三重県に七里御浜(しちりみはま)という美しい砂礫海岸があるのですが、毎年台風が来るたびに、数メートルずつ侵食されます。実際に、海岸の近くにカメラを建て画像解析をしながらそのメカニズムを分析しました。
大学卒業後、土木コンサルティング会社でJICAの港湾設計や、災害復興の設計業務に携わり、インドネシアの津波の復興計画にも関わりました。2018年ごろから洋上風力発電のブームを皮切りに再生エネルギーの仕事が切望され、欧米の土木会社に転職。そこで仕事をしながら、概略設計だけでなく、案件の詳細設計に携わりたいと思いが強くなっていきました。私がKKEを知ったのはこの頃です。
調べていくうちに、KKEは地震・耐震に関する豊富なノウハウを持っていることを知りました。また、政府のサポートとして風車発電設計マニュアル作成業務などを行っている事実も魅力に感じました。KKEならば自分の技量が活かせると思い、入社を決意しました。
「桁違い」の洋上風力発電設計に携わるということ
入社してからは、陸上風力発電の基礎やタワーの設計、検証などの仕事をしています。他の国と違い日本では地震の影響が大きく、海外で作った風車は地震荷重に耐えるかどうかをきちんと検討しないといけません。また、陸上と洋上で風力発電の規模は大きく異なります。陸上の風力発電設備は建築基準が適応されますが、洋上風力発電の場合は、監督官庁が経済産業省であり、明確な設計基準がありません。洋上風力発電では大型風車を導入され、柱の高さが136メートル、風車の直径が220メートルもあります。サイズが大きすぎて建築基準を当てはめにくいのです。
KKEは日本の洋上風力発電事業の公募において、ラウンド1、2と調査・設計に関与してきました。今ラウンド3の仕事が始まっていますが、色々な会社から声がかかっています。KKEが耐震性に関する深い知見やノウハウを持っているという事実が、業界に大きく広がっていることを実感しました。
日本における洋上風力発電は、現在着床式がメインで開発されています。しかし、日本はすぐ近くに海溝があり、水深の深い海域が多くを占めています。そのような水深が60メートル以上になると海域では、浮体式という方法が登場します。地理的状況を考えれば浮体式洋上風力発電は日本が世界に先駆けて市場開発をしていくべき領域だと思うのですが、現在は欧州にやや遅れをとっているのが実状です。私は是非、この市場拡大に取り組んでいきたいと思っています。
新しい基準づくりを面白い、と思える人に向く会社
新しいことに興味がある人はKKEの仕事が合っていると思います。KKEでは決まった手法がない中で模索し、会話し、考えながら新しい基準を作っていく仕事が多いです。また、スキル面では、必須ではないですがPythonやC++に習熟した人は強いと思います。新業務にはコンサルティング業務と計算ツール開発業務が同時に発生することがよく見られます。開発したツールで計算やコンサルティングを行い、場合によってそのツールを商品化することもあります。