卒論に悩み、祭礼バイトに明け暮れた学生時代の回り道
私は大学で、一番実学から遠いところに行こうと思い美学美術史を専攻しました。選んだテーマが難しすぎて、結局学問的には迷子になってしまったのですが……また、京都に多くある神社仏閣の祭礼に参加するバイトに明け暮れるなど、浮世離れした気楽な学生生活を送っていました。
しかし、就職活動の時期が迫ってくると一転、どうせ働くならば地に足がついている実直な職業に就きたいと考え、そして今からでもシステム・エンジニアになりたいと憧れを抱くようになりました。今振り返ると、就職したら襟を正して、サラリーマンモードにならなくては、という思い込みがあったのだと思います。そんな時に出会ったのがKKEです。KKEは「完全なモードチェンジをしなくても良い」「また回り道も長い目で見ると人生で役に立つかもしれないし、異分子にも役割がある」と、私にそのように思わせてくれる会社でした。
落ちこぼれる危機感を克服して見つけた役回り
配属は営業部で、新規事業のマーケティングを担当しました。学生時代にITスキルを学ばなかったツケがまわって、他の人ならば1時間で終わることを半日もかける状況に。テクニカルワードがわからなすぎて、単純な御用聞きすらもできず、落ちこぼれるという大変な危機感を持ちました。優しい先輩に助け舟を出してもらいながら、ひたすら泥臭く、なんとかサバイバルしました。
どうすれば自分の存在価値=レゾンデートルを作れるのかを考えた末、面倒くさい調整事を汗かきながらやるサポート役を目指そうと思い至りました。最初はミーティングのアレンジを買って出たり、議事録を作ったり。地道にやっている間に、徐々に勘所がわかってきました。
数年前、中央省庁や各地方公共団体、他のITベンダーも絡む大規模な仕事に従事しました。必ずしも利害が一致しないステークホルダーがたくさんかかわるプロジェクトです。住民も関係してきて、一枚岩どころではありません。その調整が大変な仕事を、数年かけてやりました。感じたことは、営業は単にものを売る、お金の流れを整えるだけではなく、大所高所から仕事を円滑に回すための調整役、かっこよく言うと外交官=ディプロマシー的な役割が求められるということです。
文系ならではの、エンジニアリングへの貢献が求められている
KKEで働く前提として、エンジニアという人々の努力や正論、矜持を尊重するスタンスは絶対に必要だと思います。それに加えて、世の中を良くしたい、面白くしたいという前向きな気持ちがあるとモチベーションが続きやすいように思います。
KKEでは、理系の人以外にも、活躍できる方法がたくさんあります。私は人がやりたがらない調整役という道を選びましたが、もっとかっこよくロジカルシンキングやコンセプトメイキング、プレゼンテーションや主張を雄弁に語ることなど、多くの場面でさまざまな知的貢献の仕方があると思います。
そもそも調整一つをとっても、人の気持ちを理解し、立場や状況を斟酌して対応を変える柔軟さが求められます。必ずしも技術に詳しくない、行政担当者や住民といったステークホルダーの方々の心理も把握しつつ、理解や合意形成を得ることが必要です。実際にKKEでは、技術的なトピックをわかりやすい言葉に置き換えて伝えるといった、ノンエンジニア的スキルが重視される仕事がどんどん増えていると感じています。