大学教授からKKEへ、その理由
私は博士課程を修了後、大学の准教授や教授として計17年間研究と教育に携わってきました。専門は化学工学でして、例えば、ビーカーの中で新しい物質の合成に成功した後に環境に配慮しながらいかに効率的に量産するか?スケールアップするか?を考える学問です。このように、化学工学は実践的な学問であるため、産官学連携のプロジェクトに係わることも多かったこともあり、人生の後半はこれまでの知識、経験と技術を生かしてシミュレーション技術を社会実装してみたいという想いがありました。
私たちの研究分野では有名なiGRAFという粉体と流体シミュレーションソフトウェアがあります。KKEが独自で開発している純国産のソフトウェアなのですが、この開発者に募集したのがKKEに入社したきっかけです。キャリア採用の面接では、人事、部門、役員と多くの方々とお話させていただきました。その面接でも「大学のキャリアを捨てて、ビジネスの世界に飛び込むのはもったいないのではないか?」と心配までしていただきました。また、お会いした方々は例外なくKKEのことが好きで働かれていると感じ、KKEは人や技術を大切にしてくれる会社であると確信したため、入社を決意いたしました。
ある時はコンサルタント、ある時はソフト開発者、またある時は管理職!?
現在はエンジニアリングコンサルティングの活動が1/3、当初より志望していたiGRAFの開発が1/3、そして、残りの1/3が室長としての解析技術室のマネジメントです。エンジニアリングコンサルティングのお客様は宇宙、自動車、食品、化粧品など多岐にわたります。会社規模も誰もが知っている大企業から小さな会社まで様々です。iGRAFの開発では、自らもプログラムを書き、新たな機能を実装しています。そして管理職として管理業務に加え、非常に多くの案件に携わっています。意外にもこの3つとも大学教員としての経験が生かせています。3つの兼務は大変ですが、やりがいもあり、とても充実した生活を送っています。KKEのイメージですが、入社前は『マニアックな人が集まり、面白いことをやっている、いろんな分野で尖った人がいる会社』というものでしたが、実際に入社してみて本当にその通りでした(笑)。
日本のシミュレーションの技術は世界的に見てもレベルが高いのですが、日本で使われている粉体や流体シミュレーションソフトウェアのほとんどが海外製である中、KKEの『iGRAF』は私の知る限り唯一の日本製です。私はiGRAFの開発を通して、日本の技術力を生かして、日本だけでなく世界に唯一無二の価値を提供していきたいと考えています。