子どもの頃から、どうしてもものを分解したくなるんですよね。
何かを手に取ると、その中がどうなっているのか知りたくて、ついバラバラにしちゃうんです。
原点は、折り紙でした。
実は恐竜が大好きで、母親が図書館で借りてきた恐竜の折り紙の本を見て、図を見ながら折る楽しさにハマりました。
でも、折り紙で恐竜を作るうちに、次第に恐竜そのものよりも、折り紙の形や構造に夢中になっていきました。形を作り出すプロセスが面白くて、気がつけばそればかり考えていました。
高専に進んでからは、「ものづくり」に夢中になりました。
あるとき、釣り具を持ったまま水上を自在に移動したいと思ったんです。でも、普通のボートだと両手がふさがってしまうので、それでは不便だと感じました。そこで、「足だけで推進と方向を制御できるボートを作ろう」と考えたんです。こうして生まれたのが『Fish Drive』です。高校生デザインコンペで入賞したときは、本当に嬉しかったですね。自分のアイデアが形になる瞬間は、いつも感動的です。
分解熱が最高潮に達したのは、大学に進学してから。プロダクトデザインを専攻しました。
電子ケトルや玩具を仲間と一緒に分解して、中の構造を見ながら「どこが故障するポイントか?」とか、「この部品の製造方法は?」といった議論を繰り広げていました。実際に手を動かして分解し、仕組みを理解するのが、たまらなく楽しい時間でした。
入社後は、分解やものづくりとは直接関係しないNavVis事業室に配属となり、建物3Dスキャンシステムのソフトウェアカスタマイズをメイン業務としていました。ソフトウェア開発にも、意外とハードウェアの経験が生きました。既存のものを生かしつつ、迅速に信頼性の高いものを開発するという原理原則は、機械もソフトウェアも共通しているんですね。僕の中で、「ものづくり」はハードもソフトも切り離せないものになっています。
最近は、ものづくりを通して社内外の人々が交流できる自由参加型のラボ「KKEラボ」の立ち上げにも取り組んでいます。ソフトウェアと物理的な領域がつながることで、新たなイノベーション文化を築いていけると確信しています。
今後の夢ですが、実は今、『分解修理工房』を作っているんです。
軽トラを改造して、3Dプリンターや工具を積み込んだ移動式の工房です。これで各地を回って、ものづくりワークショップを開こうと思っています。誰もが気軽に参加できて、自分で作ったり修理したりする楽しさを伝えたいと思っています。これまでの経験を生かして、もっと多くの人にものづくりの楽しさを広めたいですね。